蜜ログ、パート2

腐女子向け! 注意!!! 日記も語りも小説も著しくホモネタばかりです。扱いジャンルは龍如、キラ7、肉でございます。

錦山×伊達SS

花嫁月間なのに、通常ぽい龍如で。
こういう、タイトルつけるまでもない話がアップできるのがブログのいいところですね。
バッカスでお話する二人。
桐生と再会する前に、伊達さんが錦と深い交流があった、って妄想SSです。
 バッカスにはいつものように静かな空気が流れていた。
伊達は、マスターの削った氷の浮かぶグラスを傾けて、琥珀色のウイスキーをゆっくりと味わう。
 氷が溶けて、水とウイスキーが混ざる時の芳香を感じながら、溶ける氷と同じペースで酒を飲む。この飲み方が好きだったが、これができる程の熟練のマスターと、静かでいい空間を備えた店はバッカス以外にはなかった。
 マスターは寡黙にグラスを磨いている。伊達が黙るとマスターも黙った。
 この空間の在り方は、通いつめた店でしかできない。
 ふと、ドアが軽い音を立てて開き、一人の男が店内に足を踏み入れた。
 伊達はドアの方は見ずに、グラスを見つめていたのだが、隣に座られ声までかけられ、その男の方を見ざるを得なくなった。
「一人とは、物騒だな。警視庁4課の猟犬が」
 男が伊達に顔を近づけた時、男の長い髪がさらりと揺れた。
「錦山……」
 伊達は男の名前を呟いたが、すぐに興味なさげにグラスに目線を落とした。
「そのまま返すぜ。組長さんが一人で何してんだ?」
「別に」
 錦山はカウンターに指を組んだ。
「俺もたまには静かな場所でやりたくてな……いい店がないか人づてに教えてもらったら、あんたが居ただけだ」
「そうか」
 伊達はウイスキーが水位を上げたのを確認して、一口飲んだ。
「この人と同じものを」
 錦山がマスターに言い、マスターは丸い氷の浮かんだグラスを錦山の前に置いた。錦山がグラスを傾けた。
「美味いな」
 一口飲んで、錦山が意外気に呟く。
「飲んだことのある銘柄のはずだが……」
「氷だ」
 伊達は錦山のグラスを見て言った。
「今度は水割りにしてもらえばいい。水も、いい」
「そうか、いい店だな。あんたのお気に入りだけある」
 錦山の言葉に伊達の眉がぴくりと動いた。
 錦山が軽く手を上げてマスターを払うような仕草をした。伊達は目を窄めたが、マスターに頭を下げて言った。「すまねえ」
「申し訳ねえが、この男と二人にさせてくれ」
「……では、煙草でも」
 マスターがそう言った瞬間、錦山はジャケットから財布を抜くと、何枚か中身を抜き、マスターに手渡した。
「煙草代だ」
「多すぎますよ」
「いいから。長い話になるかもしれねえ」
 マスターは伊達の目をみたが、伊達は心配するな、という風に軽く笑った。バックルームにマスターが消えるのを見届けてから錦山は口を開いた。
「世良の葬儀……あんた、呼ばれたか?」
「俺はマル暴だぞ? 仇に焼香なんてして欲しくねえだろ?」
 錦山はグラスを一口煽ってから、唇を吊り上げた。
「けど、あんた、居ただろ? あの葬儀に」
「さあな」
 伊達はグラスを見つめた。氷が溶け、水位が上がり、それを口に含む。
 だが、氷の溶けるのをこれまでのように静かな気持ちで待てなくなってきた。
 それを錦山に悟られたくなくて、伊達は集中して、氷を見つめる。
「そうやってとぼけてろ?」
 錦山はグラスの中身を飲み干すと、伊達の太腿に手を置いた。
 伊達は一瞬体を強張らせたが、錦山のしたいようにさせておいた。
「知らないわけねえだろ?」
「何がだ?」
「桐生が出所して来た。あの葬儀はあの野郎がメチャクチャにしたんだ」
「それは大変だったな」
「別に。どうせ他人事だ。俺の知ったこっちゃねえ」
 伊達は錦山の目を見据えた。錦山も伊達の目を見つめる。
「おせっかいはこれ限りにすることだ。あんただって危ない目に合いたくねえだろ?」
「あの野郎はまだ仮釈だ。保護観察が必要なんだよ」
「それはあんたの仕事じゃねえだろ」
 錦山の目が意地悪く細まる。錦山は伊達の肩に腕を回して、耳元で囁いた。「それとも俺から乗り換える気か?」
「桐生を通して風間と繋がる気か? それとも両方とやっていい思いをさせてもらうか? あんたはけっこう欲張りだな?」
「酔ったか?」
 伊達は錦山の胸を軽く押して体を離そうとした。だが、錦山の腕は力強く、伊達を横抱きにしたままだった。
「いい店だ」
 錦山は伊達を抱いたまま、バッカスを見回した。
「こんな店で静かに酒を飲む。――最高だな?」
「ああ」
「そういう生活、壊したくないだろ?」
「脅迫か?」
 伊達は錦山に向き合った。口づけするかのように、お互いの距離が縮まる。錦山はおかしそうに笑った。「まさか」
「あんたのためを思って言ってるんだ。今まで通り俺に協力しろ? 桐生の情報も全て俺に流せ」
「別にお前と協力したつもりはねえがな」
「何回イカせてやった?」
 伊達は錦山の手を振り払いきつく睨みつけた。
「流せる程の情報はねえ。仲がいいわけじゃねえからな」
「そうか。それを聞いて安心したぜ」
 錦山は立ち上がって、代金をカウンターの上に置いた。
「それが聞けただけでも今日はよかった。桐生とは間違っても仲良くしようなんて思わねえことだ」
「お前に殺されるからか?」
 錦山はふと、真剣な表情になった。伊達の肩に両手を置き、次いで、伊達をきつく抱き締めた。
「あんたは俺の言う通りにすればいい……誰の言葉にも耳を貸すな……」
「……お前、何をしようとしてる?」
 伊達は錦山の耳元で囁いた。錦山の腕に力が籠もる。
 錦山は、伊達の言葉には答えなかった。
「マスターが帰ってくるまで、このままで居させてくれ」
 息が苦しいほどのきつい抱擁だった。
 息苦しさに、伊達も錦山の背に強く、しがみついた。
  1. 2008/06/19(木) 20:28:21|
  2. SS(龍如)